「来年のルーキーは
早稲田大学が強い」そういう声が各地から聞こえる。現在、来年度からの
早稲田大学への進学が内定している選手は5人。その5人の5000mのPBの平均は14:10を切る。このタイムは昨年度、
駒澤大学に進学した選手の5000m上位5人の平均タイムを上回るという驚異のタイム。更に昨日行われた全国高校駅伝の最長区間である1区を5人中4人が走った。今回は結果的に明暗の分かれた選手たちを取り上げたい
まずは明から
①中谷雄飛選手ー世代最強の選手が見せた意地!ー
高校2年時の11月、中谷選手は現高3世代で初めて5000m13分台を出す。1ヶ月後の全国高校駅伝3区では倉敷高校(当時)のジョエルムァウラ選手とデッドヒートを繰り広げ、区間記録ではムァウラ選手から僅か19秒差という快走を見せる。あれから1年、総体(=インターハイ)5000m・国体5000mともに日本人相手に全勝。更に5000mのPBも2年時の記録を更新。満を持して全国高校駅伝1区に初挑戦する
1区では最初の1kmを2:48というハイペースで飛ばすものの、5km地点で14:38。7km地点で20:54とペースを下げつつも常に先頭で集団を引っ張る。しかしここから一気にペースを上げる。先頭集団にいた選手は全員振り落とした…。かに見えたが、九州学院高校の井川龍人選手が中谷選手に食らいつく。そして中谷選手と井川選手のデッドヒート!トップで襷を繋いだのは…。中谷選手であった29:15で襷リレー。1秒遅れで井川選手。最後の3kmは何と8:21で走り抜いた。現高三世代の最強ランナーが下からの突き上げをも跳ね返し、意地を守り抜いた
②太田直希選手ー兄の無念を弟が晴らす!ー
高校駅伝1区。兄の太田智樹選手(現
早稲田大学)も直希選手と同じ浜松日体高校で全国高校駅伝を目指したものの、出場は叶わなかった。直希選手も全国高校駅伝出場を目指したものの、過去2年間は激戦区静岡県の勝ち抜くことはできなかった。しかし今年は強いチームメイトにも恵まれ、念願の全国高校駅伝出場を果たす。そして最長区間である1区を任せられる。兄が走れなかった1区。最初で最後の戦いが始まろうとしていた
序盤から中谷選手のペース変動に合わせて先頭集団に付いていたが、5km手前から少しずつ遅れ始め、7km地点では先頭集団と14秒差(タイムは21:08)を付けられてしまう。しかしここから淡々と粘る。ペースの落ちた選手を追い抜いていく。中谷選手相手には43秒差を付けられるものの、区間7位の走り。そして30分を切る快走(29:58)を見せて浜松日体高校の快進撃の口火を切った。兄の走れなかった全国高校駅伝。弟が無念を晴らす走りを見せた
お次は暗へ…
①千明龍之佑選手ー骨折してでも走りきる!ー
昨年の全国高校駅伝1区では現高三世代(当時高二)の選手の中でトップのタイム(30:02)で走っており、今年は1区で30分を切る。そして中谷選手をはじめとした強い同級生との区間賞争いが期待された。しかし千明選手を待ち受けていたのはあまりにも過酷な試練であった。詳細は後述…
期待を一身に背負い走り続ける千明選手。しかし4km付近から表情が苦しくなる。先頭集団から離れてしまうと、そのままペースを上げきれずに30:30というタイム。区間18位に終わってしまう。昨年の快走を何故再現できなかったのか。理由はレース後本人のツイート(Twitter:
@chiginosuke)から語られる
↓本人のツイートをスクリーンショット
このツイートから疲労骨折を発症しており、途中棄権を考えるほどの重症であったことが伺える。そのような状況でも走りきった千明選手には敬意を称したい。そして早めの回復を望む
②半澤黎斗選手ー魔物に取り憑かれた総体王者ー
「何故ついていけない…」昨年のリベンジを狙う半澤選手は心の中でそう思っただろう。総体1500mでは大分東明高校のベヌエルモゲニ選手、チームメイトの久納碧選手との競り合いを制して優勝。高校歴代2位のタイムを叩き出した。最後まで先頭集団にいればラストスパートで抜け出し区間賞を獲得するというビジョンまで見えていたはずだ。しかし現実は違った。1区へのトラウマからか終始力みが生じていた。その結果、先頭集団どころか第二集団からも遅れてしまい単独走を強いられてしまう。これでは半澤選手の持ち味を発揮できない。結果として30:34というタイムに終わってしまった。半澤選手にとっては悔いの残る結果となっただろう
③向井悠介選手ー走れなかったロード巧者ー
昨年の全国高校駅伝1区。向井選手は彗星のごとく現れた。国体3000mで8位入賞とトラックでの実績は高かったものの、ロードでの実力は未知数であった。しかし向井選手は快走を見せる。終盤まで先頭集団に残り、30:17で区間14位。当時の高校2年生では2番目のタイム(1番目は千明選手、3番目は小林高校の田中康靖選手)を残し、今年の全国高校駅伝でも快走が期待される選手の1人であった
迎えた全国高校駅伝区間エントリー発表。1区は同級生の竹上世那選手がエントリーされ、向井選手は補欠に回った。昨年以上の好タイム、そして大学でチームメイトとなる中谷選手・太田選手との全国高校駅伝初対決はお預けとなってしまった。しかしまだ対決できる機会はある。来月行われる都道府県対抗駅伝だ。ここに照準を合わせて復活してほしいものである
明暗がくっきりと分かれた
早稲田大学進学予定者たち。しかし実力は確かなものである。大学でも即戦力となれるか見ものだ
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